死刑存廃〔承前〕

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 いよいよ秋めいてきて、スポーツ、行楽にぴったんこのよい気候となりました。というわけで、明日早朝よりゴルフコンペに出かけるので、土曜日の夜一杯やったあとにブログを更新しております。どうも、酔った頭で文章書いたときは、あとで読み返して情けないことがしばしばあるわけですが、ご容赦いただきお付き合い願います。
 
IMG_3489.jpg さて、先週のエントリーで死刑の存廃論争に関して、わが国では圧倒的な世論の支持によって維持されている、また、近代国家の先進国で死刑を存置しているのは日本と米国の一部の州だけ、と書きましたが、これは非常に興味深いのです。
 
 戦後のわが国においては、GHQの薫陶よろしきを得て人権思想が飛躍的に進歩しました。しかし残虐な刑罰として憲法違反の誹りを受けている死刑という制度に関しては、いまだに多くの国民が廃止に消極的です。というかはっきりと反対しているのです。
 
 いわゆる死刑存廃論争において、廃止派の主張根拠は多岐にわたります。残虐な刑罰を禁止する憲法に違反する。冤罪やとあとで判明した場合取り返しがつかない。先進国の多くが廃止してるし国連も「やめなさい」と言ってる。執行する人がかわいそやんか。などなど、様々な理由によって廃止を訴えます。
 
 これに対して、存置派も負けていない。
 
 死刑があるから凶悪犯罪が抑止されてる。被害者遺族の気持ちを考えてみろ。私的制裁(仇討)が復活して復讐の連鎖が生じてもいいのか。死刑以外にどんな刑罰があるねん。終身刑なんて作ったら極悪人を一生税金で食わせていくことになる。などなど。
 
 これまで存置派、廃止派さまざまな主張が繰り返されてきましたが、はっきりした決着を得るには至っていません。そして結局廃止されてないということは、わが国では、現時点では存置派が暫定勝利を収めているとみるべきでしょう。PA255202.jpg
 
 思うに、憲法が残虐な刑罰を禁止している以上、死刑は憲法に違反しており、刑法の条文のうち死刑を定めた条項については無効であると考えるべきです。刑罰である以上なんらかの苦痛を伴うペナルティーを課すべきですが、近代社会は、禁固刑や懲役刑(強制就労)のように「自由を奪う」というかたちでその要件を実現してきました。つまり、苦痛を与える方法として、罪人の身体に直接的なダメージを加えることは「残虐な刑罰」として排除したのです。これは人類普遍の真理として、争いはないはずです。
 
 にもかかわらずわが国では、過去に「死刑制度合憲判決事件」に際しての最高裁の合憲判断があり、現在も死刑制度存置の根拠とされているのです。これがおかしい。
 
 死刑は、身体に究極のダメージを与える刑罰であり、明らかに憲法違反です。しかし無理に「合憲」の解釈をこじつけて憲法違反の法律を粛々と運用している。最近似たような話を聞きました。集団的自衛権関連法案の成立と同じ構図です。
 
 死刑を廃止すべきか否かに関しては、私は明確な解をもってはいません。もしアンケートで聞かれれば「どちらともいえない」にマルをつけるでしょう。しかし、憲法違反ではあることは明らかなので、存廃について議論するそもそもの前提として、憲法の改正が必要でしょう。死刑を適正な法律上の制度として運用できる状態とし、その上で存廃それぞれの立場から議論すべしということです。護憲の立場から改正はできない、とするならば、死刑は即刻廃止すべきです。それが法治国家のあるべき姿です。

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