死刑存廃

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 秋の深まりをしみじみ思い知らせるキンモクセイの香りもそろそろ終わりでしょうか。河島英五が生前「この国が一番美しい燃える秋が訪れる」と詠った晩秋へと、季節は進んでいくのです。今日はやや雲りがちですが晴れ間も見えてる。新しいトレッキングシューズを買ったんで、試しにどこかに出かけようと思ってます。
 
 さて、先週の出来事からちょっと重たい話題を。
 
IMG_7322.jpg 日弁連(日本弁護士連合会)というと、弁護士さんは法律で加入することが強制されてる特殊な団体で、活動方針としてわが国での死刑廃止を標ぼうしています。強制加入の団体なのに極めて政治的な活動しているわけで「おかしい」と感じた会員から批判されて裁判起こされたりしてます。「政治団体として特定の意見を主張したいならば強制加入の団体ではなく、賛同者を集めて任意団体を作ってやるべきだ」というわけです。これは一理あるのであって、判決に注目したいと思います。しかし、その話はちょっと置いといて、今日はその死刑制度のことです。
 
 騒ぎの発端はその日弁連が今月行った人権擁護大会で採択した「2020年までの死刑廃止めざすどー!」という宣言でした。なるほど弁護士さんたちとしては人権擁護の立場から死刑は廃止すべしという主張はまあ当然でしょうね。
 
 ところが有志の弁護士さんたちでつくる「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」という団体がこれに対して、「犯罪被害者の人権や尊厳に配慮がない」などとして死刑廃止ありきの宣言採択に反対する声明を発表しました。おっと、弁護士さんたんちの中でも、犯罪者の人権を守ろうという主張と、被害者の思いはどうなるのよという主張が交錯し、必ずしも一枚岩ではないのね、と思ったわけです。
 
 この対立にまたぞろ朝日新聞がちゃちゃを入れます。社説でもってフォーラムに対して「宣言をただ批判するのではなく、いまの支援策に何が欠けているのか、死刑廃止をめざすのであれば、どんな手当が必要なのかを提起し、議論を深める力になることだ」とした。つまり宣言を批判した「犯罪…フォーラム」を批判したわけですな。
 
 これに対してフィーラムが怒った。「私たちは支援のあり方を散々提言して、被害者参加や損害賠償命令制度などを実現させてきた。朝日新聞はちゃんと取材したのか。『ただ批判するだけ』なのは、朝日新聞の方ではないか」と公開質問状を出して痛烈に批判し、ケンカが始まってます。
 
 面白くなりそうですが、公開質問状の件については産経新聞のみが伝え、当の朝日はまったく書かず知らん顔してます。いつものごとく何もなかったことにしちゃうんでしょうか。
 
 一方、その人権大会の前日に同じく日弁連が開いた死刑制度に関するシンポジウムで瀬戸内寂聴さんのビデオメッセージを流したところ、これが物議をかもしてます。寂聴さん、死刑制度を批判したうえで「殺したがるばかどもと戦ってください」と発言したのです。IMG_7329.jpg
 
 これに対してもフォーラムは「被害者の気持ちを踏みにじる言葉だ」と烈火のごとく怒ります。まあ、立場から考えて当然でしょう。時をほぼ同じくして二つの死刑関連のイベントで騒動が起こり、制度の議論がクローズアップされたわけです。
 
 さて、寂聴さんが「バカ」と言った相手は、のちに朝日紙面でも釈明しているとおり、犯罪被害者のことではなくて、死刑制度を維持しようとしている勢力を指していることは明らかで、そんなに目くじら立てて論うことではありません。
 
 よく言われるように、死刑廃止は世界の趨勢です。いわゆる先進国とされてるOECD加盟国の中で実際に死刑続けているのは日本とアメリカだけで、アメリカでも廃止した州が多い。しかし、日本の場合、内閣府がおととしにやった調査では「死刑もやむなし」と考える人がなんと80%を超えてます。圧倒的な世論の支持によってわが国の死刑制度は存続している現状があります。こんな状況では廃止論者たちがいかに声高に叫ぼうが、わが国の死刑制度がなくなることはおそらくないでしょう。
 
 おでかけの時間が迫ってます。ちょと長くなりそうなんで、次回続けます。

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