ジュゴンの秋

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IMG_2747.jpg マンションの入口脇の植え込みに鐘馗水仙が咲いてます。ヒガンバナのかたちでひとまわり大きくてきれいな黄色の花です。ヒガンバナと同じ種類らしく、お彼岸の今頃になっていきなり咲きました。故郷下市の田んぼの畦では真っ赤なヒガンバナが咲き誇っていることでしょう。

 そいや、いつの間にか季節はめぐり日に日に涼しくなってきました。もうしばらくすると秋の使者にして香木の王者キンモクセイの芳香が風に乗り、夕暮れの淋しさをさらに募らせていきます。河島英五が「この国が一番美しい燃える秋が訪れる」と唄った季節、秋本番となりました。

 うん、秋は良い。

 四季の移ろいを愛でる感性は日本人のDNAにしっかりと刻まれています。自然を畏れ、自然を愛し、慈しみ、美しい自然への感謝を忘れないことこそ、太古より八百万の神とともにあったわれわれ日本人の誇るべき伝統やと思います。

 八百万の神といえば、先日また伊勢方面に出かけてきました。昨年は式年遷宮イヤーということで珍しく伊勢神宮お参りしましたが、今年は単なる温泉旅行です。お伊勢さんは側を素通りしたんでバチがあたるかも知れません。ちなみに我が家は初詣した年にはあまり良いことがないというジンクスがあるので、神社参詣はお正月を避けてます。

 温泉大好き夫婦、私は秘湯派ですが奥さんは「部屋に露天風呂がついてないとイヤ」というトレンド志向です。昔はそんなことなくて山奥の鄙びた小っちゃい宿でも喜んで行ってたのに、いつの頃から「露天風呂付客室」の存在を知り、さらにそんなホテルや旅館がどんどん供給されてきて全然「特別室」扱いでもなくなってきました。とうとう奥さん「知らない人と同じお風呂に入るのはいや」とかわがまま言い出してからもう何年にもなります。

 最近はネットでもって温泉地や旅館探すわけですが、部屋の間取りからお風呂のかたち、料理の献立、アメニティの状況にいたるまで多くの情報を事前に吟味した上で宿を選ぶことができます。注意しないと「お部屋の露天風呂は天然温泉ではありません」なんて小さく書いてあるところもあるのです。IMG_2705.jpg

 おもえば結婚当初の20数年前、雑誌やガイドブックに載ってる旅館の一覧だけ見て電話で予約してたもんやから、それはそれは当たりはずれがありましたとも。急に思い立って出かけることが多かったので、旅行代理店はあまり使わなかったのです。現地までの道中にしても、昨今は電話番号さえ分かればナビが連れてってくれる。何とも便利になったもんです。

 ミキモト真珠島近くの郷土料理店「七越茶屋」さんで伊勢うどんと手こね寿司のセットをいただきました。昨年、神宮門前のおかげ横丁で特大天丼食べて夕食までに消化しきれずさんざバカにされたことを教訓とし、あっさりめで。それでも美味しいものを貪欲に求める姿勢には、いささかの陰りもありません。しかし、伊勢うどんってコシがまったくなくて、なんだかお団子食べてるような食感です。これは、う~ん…

 今回は「御宿ジ・アース」とゆう宿です。

IMG_2711.jpg 鳥羽市のはずれ、伊勢半島が太平洋にズンと突き出た先っちょにあります。海沿いに走る幹線道路からも遠く外れたそそり立つ崖の上に建ってて、まわりには海以外に何もない。宿へと続く一本道も切り拓いてから日が経っていない感じで、まだオープンして日が浅い様子。あとで聞くと、できて7年目やとか。どおりでキレイで現代風に凝った造りでした。

 近年、こういうコンセプトの宿が増えてきました。つまり、温泉宿というよりはスパ付きリゾート、といっても部屋数は極力少なく大浴場よりも部屋の露天風呂メイン。大浴場はありませんというところも出てきた。客室は和風フレーバーを残すものの基本洋風の佇まい。今回のジ・アースさんもまさにこのとおりのなんとも心地よい宿でした。

 あいにくとお天気が悪い。晴れていれば太平洋の彼方まで見渡せるはずが、朝から降り出した雨はだんだんと強くなり、ダイニングで夕食の頃には台風並みの猛嵐となりました。そいや去年のお伊勢参りも雨でした。やっぱりお参り省いたバチやろか。「明日は晴れそうですから日の出がキレイに見えますよ」と作務衣にエプロンつけたギャルソンからありがたいお言葉でした。

 しかし、いつもながら温泉浸かっては飲み、また浸かりしているうちに眠りこけてしまい、気が付けば翌朝、陽は高く昇っています。日の出はいずこよって。P9014974.jpg

 何十年ぶりかで訪れた鳥羽水族館、スケールでかくて楽しめました。ジュゴンやスナメリ見てると何とも癒されます。ちなみにコツメカワウソはいきものがかりの吉岡聖恵にそっくりやという噂は本当でした。

 いつも9月のはじめに短い夏休みをもらうことにしています。行楽地では忍び寄る秋の気配とともに子供たちの姿が一斉に消える。なもんで、いっけん中途半端な時期ですが何ともゆっくりできて非日常を味わうにはなかなかよろしいわけです。

 若かったころは、休み中に仕事のことを考えることなどついぞ無くて、それこそバッッケイションを堪能する原色の夏休みでした。ところが昨今、職場での責任が増すに連れてオン・オフの切り替えが下手になってます。これではいかん、いかんぞと思ってるあいだに今年の夏も去っていってしまいました。

 済んだことは仕方がない。季節を心底楽しむ日本人の矜持に恥じないよう、この国の美しい秋を堪能することといたしましょう。

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katsuhiko

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奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

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雨の日と夜中はクラシック音楽聴いてます。

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