2014年6月アーカイブ

バス停の香り

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 サッカーW杯は何とも残念な結果となりました。日本代表は、決勝トーナメント進出どころか、グループリーグ最下位で早々に帰ってきてしまいました。しかし、ここまでコテンパンにやられるとかえって諦めもつくとゆうもんです。4年後目指して、またいちから精進していってもらいましょう。

 さて、毎日の通勤途中、電車降りて乗り換えるバス停のそばに1本の木が植わってます。

 先日、強烈な芳香に気づき、ふと見るとこの木にたくさんの花が咲いています。どこにでもあるような灌木に見えたけど、思うにこの樹の名前を知らない。こんなにみごとな香りを発するのやから、さぞや高名なんやろなと思いつつ、写メ撮って職場に向かいました。IMG_2394.jpg

 ところが、部署の誰に聞いてもこの木の名前を知らない。

 「ええ匂いがするんやけど」
 「クチナシ?」
 「ちゃう」
 「金木犀?」
 「この季節に咲くかい!」

 やっとたどりついた、ある同僚が「この木は、モッコクとゆうのだよ」と教えてくれました。ネットで調べてみるとなるほどこれや。間違いない。

 モッコク(木斛)は灌木ではなく、成長すると十数メートルにも育つらしい。日本の庭木としてはごく定番なんやとか。私の愛してやまない桂枝雀さんの根多のひとつ「青菜」のマクラに「木犀、木斛、樫、要、松、桐、坊主…」というくだりがあるので、「モッコク」という名前の樹があることは知ってましたが、そうか、これがそうやったのか。

 水仙を小さくしたような形の薄黄色の小さな花がたくさん、そのほとんどが恥じらうように下を向いて咲いてます。そして一斉に発するこの強い匂い。クチナシのようでもあり、キャラメルのようでもあり、何ともいえない良い香りです。

 ところが次の日の朝、前日たわわにぶら下がっていた花がすっかり少なくなってました。誰かが意図的に花を減らしたのか、もともと咲いてる期間が短いのかはわかりませんが、香りもほとんど失せてしまってました。

 ずっとマンション住まいなもんで園芸にはとんと縁がないとはいえ、この歳になってもあまり樹木の名前を知らないのはどうも情けない。梅雨どきのこの季節、舗道に咲き誇るクチナシの様子を書いたのを覚えていますが、今回、それに劣らない季節の香りを発見した次第です。職場のすぐ隣には大きな城北公園があります。探せば名前知らない樹がたくさんありそうです。中には名札つけてもらってるのもあるのですが、全部ではない。もう少し、注意してみていくこととしましょう。

砂川事件裁判

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 砂川事件といえば、法学部の憲法の授業では必ず登場する超有名な判例です。

 最近ひさしぶりにマスコミでこの名前を聞きました。事件の元被告たちが再審請求したことがニュースになってるのです。朝日新聞は社説でも取り上げてました。

 1957年といいますから私生まれるだいぶ前ですが、日本の米軍基地の敷地内にデモ隊がちょっとだけ立ち入ったとして、日米安保関連の「刑事特別法」違反として起訴された事件で、その後のいわゆる60年安保闘争から全共闘の学生運動へとつながっていくきっかけにもなり、現代史的にも重要な事件とされています。

law137274.jpg 一審東京地裁は「駐留米軍は憲法第9条違反」として、被告全員を無罪としました。これに政府や米軍はビックラ仰天、検察は高裁すっ飛ばして最高裁に上告します。憲法判断の裁判はこんなことができるのです。すると最高裁は原判決を破棄差し戻し、結果「有罪、罰金2,000円」が確定したというものです。跳躍上告したのは政治的な影響が大きいので長期化を避けたいという思いからで、見事に国の思惑どおりの結果となりました。

 さて、この判例がなぜ重要とされてるのか。

 我が国は憲法9条でもって戦争はやっちゃダメということになってるので、国内によその国の軍隊が戦争のための基地を作るなんてことは普通に考えて憲法違反。したがって安保関係の特例法がそもそも憲法違反、そんな法律は無効。だから無罪、となるのですが、ここで登場するのが「統治行為」理論という法律用語です。

 これは、「国家統治の基本に関する高度な政治性を有する国家の行為については、法律上の争訟として裁判所による法律判断が可能であっても、これゆえに司法審査の対象から除外すべきとする理論(ウィキペより)」です。砂川事件で最高裁は、この「統治行為」理論を初めてもちだして「刑特法は憲法違反ではない、国会が決めた法律は守るヨロシ、だから有罪。罰金払え」とやってしもた。そして、その後日米同盟の憲法適合性が問われる問題では、この判断が定着してしまいました。P6214654.jpg

 大昔の事件、なんでいまさら再審請求なん?と思ったところ、どうやら最近の集団的自衛権に対する抗議の意味があるとのこと。判決は日本の自衛権にも言及したので安倍総理はこれを集団的自衛権行使容認の説明に利用してるんやとか。ふ~ん。

 報道のせいで長年忘れてた学生時代の記憶がよみがえり、書架から当時の憲法の教科書とりだして広げてみました。何年ぶりやろ? 線がいっぱい引いてあるし書き込みもたくさんあったりで、熱心に勉強してた痕跡がみてとれます。青春の思い出やなあ。(^^)

 当時、この「高度な政治性を有するがゆえ、司法判断に馴染まない」という理屈はどうしても納得できず、先生や友人と議論したことがあります。いまでもこの理論は間違いやと確信しています。「政治的に難しい問題は裁判しない」なんて言っちゃったら、そもそも三権分立の基本理念に背くやないですか。むしろ政治的に難しい案件やからこそ司法の出番があるんやないんですか。

 近年になって、砂川事件の裁判長やった最高裁 田中耕太郎長官が政府や米軍から指示があってその意に沿うようにへつらって判決を下したということが、いろんな資料から明らかになってきました。この男、その功労を認められて国際司法裁判所の判事に推薦されたり、勲一等に叙せらりたりとご褒美をいっぱいもらいました。しかしこの「世渡りタクミ」君、現在では厚顔無恥のレッテルを貼られて酷評されてます。当然です。やっぱり統治行為論はおかしいんです。

 司法の独立は近代国家の重要な基本理念ですが、我が国の近隣にはそうでない国があります。司法が政治や立法から独立せずとにかく「日本憎し」を国是としており、裁判所も条約を無視した判決を出してみたり、泥棒が日本から盗んでいった文化財を裁判所が「返すな」なんて言ったりします。また、共産主義の一党独裁国家では法律の解釈も裁判も党の意向によってどうにでもなります。日本が関係する裁判で、外交関係が良いうちは普通に判断するけど、悪化すれば日本に不利な判決を出すなど、つまり司法をも外交圧力の具としています。党こそが正義でありすべてはその意向にそって進めることを国家の基本原理とします。これらの国はそもそも「法治国家」という概念が希薄なのです。

 日本は、そんな前近代的な国に落ちぶれてはなりませぬ。集団的自衛権がいいのか悪いのかはおくとして、砂川事件の再審には注目していきたいと思います。

 梅雨の中休みでしょうか。昨日、今日は爽やかな朝となりました。

 さあ、間もなくサッカーワールドカップ日本代表の初戦が始まります。ブラジルは日本の真裏なんで時差12時間。ということは現地時間夜の10時キックオフってちょっとどうよと思いますが、おかげで日本ではいい時間帯に観戦できます。開始までの時間で、気もそぞろのブログ更新です。

 お天気がいい休日の朝、早起きすると実に気分がよろしい。書斎の窓は東向きで朝日がもろに入ってきます。窓を全開し雀の合唱を聴きつつ、とりあえずCDで音楽をかけるのですが、さて何を聴くか。これが厄介なのです。すっと決まればええのですが、なかなかピタッとこないことも多い。

 そんなとき、とりあえず鳴らす「朝用とりあえずのコレクション」CDを1枚焼いてあります。朝ですよ~感満載のナンバー寄せ集めです。img017.jpg

 その1曲目が、Randy Vanwarmerの"Just When I Needed You Most"。邦題「アメリカン・モーニング」(^^;)

 ものすごい邦題です。歌詞読むと「僕が一番いてほしいときに君はいない。ドアも閉めないで雨の中に消えていった。あーあ振られちゃった」沢田研二の「♪壁際に寝返りうってる間に出て行ってくれ~」に通ずる、つまりは失恋の唄なのです。ところがメロディや歌声なんかが爽やかな朝の雰囲気にピッタリってんで、大胆にも何の関係もない邦題つけて、朝の歌ですよ~って売りだしたらなんとこれが大ヒットしたと。なかなかおもしろいもんです。

 この曲の想い出があります。

 学生時代、アルバイトしてた喫茶店のこと。

 アパート最寄りの駅前商店街にあったこのお店、オーナー(社長)が会社にして何カ所か経営してるお店のうちのひとつでした。時給は460円で、当時としてもこれは破格の安さ。たんまり稼ぐのならもっと割のいいバイトは他にたくさんありましたが、この店で働いていることで友人も増えたり、わりと楽しかったりで、まったりと続けてました。

 店長も社員さんでした。たしかわたしより3つか4つ年上で、高校卒業後大きな中華料理チェーンに就職して調理師免許を取得、その後、親友の高校同級生と二人同時にオーナーに引き抜かれてこの店を任されたと聞きました。

 いい人でした。サイホンでの珈琲淹れ方から、ピラフやスパゲティーの作り方、水商売のノウハウまでいろんなことを教えてもらいました。

cafe.jpg 営業時間終わってお店閉めてから、ビールやウイスキー出してきて一緒に遅くまで飲んでいるうちに、酔いがまわった店長は語り始めます。

 スキーが好きで、いずれこいつ(親友さん)と二人でスキー場でペンションを持つつもりなんだ。そのために今は頑張っていると、おおむねそんな話でした。

 スキーは私も学生時代からやってましたが、当時はブームのハシリやったように思います。すこしあとに訪れる「バブル」に向かう時代、あちこちにスキー用品専門店"ALPEN"の青い三角が現れ、大資本が次々にスキーリゾートの開発に乗り出してました。松任谷由実の「BLIZZARD」や「サーフ天国、スキー天国 」が流行ったころです。ゲレンデは大混雑、もっぱらスキーヤーのみでボーダーはまだ現れてませんでしたが。

 ともあれスキー場は大盛況でしたから、店長さんと親友さん、夢にむかって力を合わせて過酷な勤務に耐えていたのです。はっきりとした目標を掲げ邁進する姿は傍でみていてもなかなかにかっこいいもんでした。ところがその後、その喫茶店つぶれてしもて、バイトのわたしはあえなく解雇。転職した二人とはそれっきりとなってしまいました。

 さて、その店長が好きな曲で毎朝店のBGMで流してたのが「アメリカン・モーニング」やったのです。「いいだろ、この曲。朝、ペンションのテラスで聞くときっと最高だぜ~」とよく言ってました。で、今でもこの曲聴くと、あの店長さん思い出すのです。

 今となっては知るすべもありませんが、はたして二人は夢をかなえてどこかのスキーリゾートで小さなペンションを経営しているのでしょか。その後のバブル崩壊からスキー人口の激減などの時代の流れを見るとなかなかに状況は厳しいと思いますが、二人の青春の夢、何とか実現していてほしいもんです。

五十肩

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 10日ほど前から、なんだか右肩に痛みを感じだしたのです。

 四六時中痛いわけではなく、背中を掻いたりとかで、ことさらに右腕を上げたり捻ったりしたときにズキンと痛みます。激しい運動したわけでもなく、どこかにぶつけたりした記憶もありません。

 普段の生活にそれほどの支障もないので、放っておきました。寝違えたかな? そのうちなおるやろと思てたところが、どうも痛みが消えない。

 で、先日、最寄駅前の整形外科に行きました。

 ゴルフでヒザだの足首だの痛めたときなど、何回もお世話になってる行きつけの先生です。そうそう、腰痛のリハビリに通ったこともありました。今回は右肩、レントゲン撮って診てもらいました。

 先 生「骨に異常なーし。上腕骨と鎖骨の間の腱板が炎症起こしてるんやろな。注射うっとこ。」
 わたし「そーなんですか。僕はもう、てっきり五十肩かと思いましたよ。」
 先 生「五十肩だよ。
     クスリ出しとくよって、しばらく飲むように。10日ほどしてまだ痛かったらまたおいで。」

 いわゆる五十肩の初期症状やということです。永年の酷使によって古くなった身体の部IMG_2374.jpg品があちこち痛んできてます。まだまだ若いと思ってたのに「五十肩」なんて、そんなにはっきり言われるといささかショックではありましたが、まあ仕方がありません。実際50歳超えてるし。注射してもらって痛みがずいぶんと楽になりました。

 最近は運動するといっても、まあゴルフか家でエアロバイクこいだり、あとたまにハイキングに出かけるくらいで、かつてのような激しい無酸素運動はとんとご無沙汰しています。草野球もそう。最後に試合してからもう何年にもなります。声がかかればいつでも出動したかったところですが、悲しいかなこの肩の痛みでは、もはや引退するしかないかもしれません。同世代の友人には、フルマラソンを完走する輩もたくさんいるというのに、まったく情けない話です。

 そう考えるとプロスポーツの選手たちは、大変ですよね。その技量を維持するのももちろんのこと、身体のケアもよほど気を付けないと、たとえばプロ野球選手がひとたび「五十肩痛い!」とかなったら、死活問題です。場合によっては手術してでも復帰しないと食べていけなくなる。なんとも過酷な話です。素人でよかった。

 わたしの場合、草野球またやってみたいのはやまやまなのですが、悲しいかなおそらくはもうユニフォームがはいらないのでは、という問題もあるのです。

 数年前、初めて仕事でヨーロッパ行ったとき、数カ国歴訪やから旅券には記念のスタンプがペタペタ貯まると思てたのに、日本以外で押してもろたのは英国ヒースローの入国とヘルシンキ出国の二つだけ。その間どんだけ国境越えてもパスポートは見てももらえませんでした。なんでもEUできてから、欧州では国境の意識がほんとに希薄になってるそうです。

eu.jpg そのEUの立法機関である欧州議会の5年にいちどの議員選挙が先週あったとか。詳しい仕組みはよくわかりませんが、欧州議会の議員を選ぶということやそうです。欧州行きは経済団体の大学調査団やったのですが、報告書の割り当てで「EUの教育政策」について書いたんで、以来EU関連のニュースわりと気になるのです。

 欧州大陸は国が陸続きでひしめきあってて、ちょっと走ればすぐに隣の国。仲良しのうちはええけど、ひとたび対立が起きればすぐに戦争になってしまう。

 結果、有史以来数えきれない戦火を交えてきて、おかげで高校世界史、戦争の名前多すぎ。覚えるの苦労するようなことになってしもた。それが第二次大戦でとうとうヨーロッパ全土が焦土と化し、もうホントに懲りた、これっきりにしてこれからは仲良くしていこやということでアメリカやソ連やなんかと一緒になって国際連合を作った。が、しかし、今度は冷戦がはじまってまたぞろNATOとワルシャワ条約機構という、あらたな対立グループができてしまった。

 その片方のNATO陣営が、石炭鉄鋼共同体(ECSC)や経済共同体(EEC)その他の仲良しクラブを作って協力の輪を拡げていき、さらに「悪の帝国ソ連とその衛星国に負けるな」ってんで、クラブをいっしょくたにしてEC(欧州共同体)が発足したのが1965年。

 その後、共産主義沈没で冷戦があっけなく終わってしもて、よーし経済だけでなく、政治の分野でも協力関係を強化しよーやとなって、とうとう1993年にEU(欧州連合)が発足したと。

 おさらいが長くなりましたが、池上彰先生、こんな感じで合ってますか?

 さて、島国の国民としては、よその国と一緒になって議会を組織するなんてことがそもそもピンとこない。ていうか最近になってまったく理不尽な恫喝を始めた、困ったご近所諸国のありようを見てると、今の欧州ってホントに仲がよくてうらやましいと思います。ところが今回のEU議員選挙を経て、今後はEUの統合がどこまで維持できるかが焦点のひとつになってるとか。加盟国間の経済格差が拡がってて(ギリシャの経済危機とかありましたね)どうも一枚岩でもないらしい。英国なんか「もうEUやめちゃろか」なんて話もでてるとか。そいや加盟国の通貨はみな「ユーロ」になったのに、英国だけはポンドのままですよね。

 人類が共有すべき最も大事な理念は、ありきたりやけど基本的人権に根差した自由と民主主義やと思います。大統領も市民も、サムライも町民も等しく同じ人権を有するとするこの理念は、もとを正せば欧州から始まって世界中に広がりました。人類が地球上で創り出してきた最高の発明は、電気でも宗教でもなく人権思想やと思います。アフリカが人類のふるさとなら、欧州は人が人たる所以である人権思想のふるさとです。ところが、

 写真は、その欧州出張の際にブリュッセルの街角で撮った一枚。
   ガイド氏「あいつらはロマです。近寄っちゃダメですよ。」
   わたし 「ロマって?」
   ガイド氏「ジプシーですよ。ああやってわざと子供に傷つけて、
        連れてまわって物乞いするのをナリワイにしてるんです。」

P9070956.jpg

 欧州でもアジアでも、人の歴史は迫害の歴史でもあります。きれいごとですべて解決するとは思いませんが、宗教関係なく「人のみち」は万人に共通するはずです。

 多様性(ダイバーシティ)の受容がひとつのカギです。世界に自分ひとりだけしかいないのであれば、理念もへったくれも考える必要はありません。人権という概念すらいらないでしょう。しかし、地球上には自分以外に数十億の人がいて、同じ数だけの人権があります。社会の一員である以上、世の中とかかわっていく以上、感謝を忘れず他者に優しくありたいと思う今日この頃です。

WELCOME

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PROFILE

IMG_0227_2.jpgのサムネール画像のサムネール画像

katsuhiko

男 

血はO型

奈良県出身大阪府在住のサラリーマン

生まれてから約半世紀たちました。

お休みの日は、野山を歩くことがあります。

雨の日と夜中はクラシック音楽聴いてます。

カラオケはアニソンから軍歌まで1000曲以上歌えます

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