人生のゴールはまだまだ遥か遠くカスミがかかってますが、齢50を越えるとそろそろ宿題も気になってきます。定年を待っていたのでは間に合わない。
そんな大層な話ではないのですが、すぐ近くでいつでも行けると思っているうちに、結局行けずじまいということがあります。溜まった宿題のひとつです。今日はそんな話。
わたしの場合のこれに類する話として、大学の最寄り駅は京王線の多摩動物公園駅でそれこそ毎日前を通っていたのに、結局この動物園入ったことがない。入学当時オーストラリアから初めてコアラが贈られたということで話題になってました。駅前広場のインターロッキングがコアラの絵になっていたのを覚えてます。
しかし、結局縁がないまま卒業して西に帰ってまいりました。
そしてもうひとつ。故郷の奈良県吉野郡と奈良盆地は、龍門岳、高取山から芦原に至る山塊で隔てられており、高校時代は橿原市の八木界隈までこの峰々をぐるっと迂回する近鉄吉野線で通学していたわけです。ところがふと気がつくとこの高取山にある日本有数の山城「高取城」まだ訪れたことがない。
そこで今日、何十年の宿願を果たすべく、紅葉狩りかねてハイキング行ってきました。
近鉄壷阪山駅に降り立ち、土佐街道を南へ。人影も少ない静かな街並みを抜け、城跡に向かう町外れで地元のおじさんに挨拶して、しばし立ち話したところ、昨日 「たかとり城まつり」 というイベントがあり、豪雨にもかかわらず大層な人出だったとか。よかった、人が多い日は避けたい。
進むにつれてだんだんと坂がきつくなっていきます。そうとうな山道ですよ、これは。山の上にお城があって麓に城下町があったということは、お城と麓の街にはそれなりの往来があったことになります。街の人が「ちょっとお城まで行って来ます」とか、お侍が「ちょっと買い物に麓まで下りてくるでござる」 なんて、このロケーションではそう簡単にはできないでしょ。いったい昔の人はどれほど健脚やったのか、なんてことをつらつら考えながらゼイゼイ言って登るうちに両脇の木々が開けてきました。お城近し。
天守台が近づくにつれて道のそばに石垣が現れてきます。大坂城みたいなバカでかい石はないのですが、それでも重機もなしに山のてっぺんにこれだけの石垣を構築し、さらにそこにでっかいお城を造るという、その労力たるや想像を絶します。
なんと路傍に猿石が。あの明日香のんとおんなじやないですか。傍らの立札によると。やっぱしもとは明日香で掘り出されたみたいですよ。高取城造る際に「石垣にしよーや」って明日香から運んでたところ、途中で「あ"ー重てー、もうやってれっか!」と、ここに捨ててったらしい。気持ちよく分かります。
城跡にはおおぜいの人が。小さな子どもたちやワンコも。例によって近くまでクルマで来ることができるのです。少し遅いかなと思ったけど紅葉はまだまだ見頃でした。
位置からして展望がよい。南に吉野・大峰の大山塊、西に金剛葛城の峰から二上山。北側の国中(大和平野)にはぽつぽつとおなじみの大和三山が。お陽さまがも少しあったらきっと抜群の眺望やったでしょう。
ずっと曇り空で少し寒かったけど、けっこう楽しめました。いつもながら「昔の人はスゴイ!」を実感した晩秋の一日でありました。